「初めまして。伊沢棗です」



軽く笑顔を浮かべながら、相手の方に頭を下げた


「おぉ―、キミが棗くんか。いや、写真で見るより好青年だね」



「ありがとうございます」



相手のお父さんからそう言われニッコリ笑う



「ほらほら。立ってないで座りなさい」


「失礼します」



いかにもお嬢様育ちの女の子と向かい合って座る



「初めまして。真田玲華[さなだれいか]と申します」



そう言ってニッコリ笑った玲華さん


長い黒髪にぱっちりした瞳が俺を見つめる


「棗さんのお噂はかねがね、聞いておりました。成績もとても優秀で、お優しい方だと……」



「いえ、そんな……」


どこでそんな噂なんて仕入れて来るんだよ…



それからほんの形式な事を聞かれた


「ご趣味は?」とか「好きな食べ物は?」とか、そこら辺


はあぁぁ―……



そろそろニコニコするのも疲れた……


笑顔も楽じゃねぇんだよ。