「棗、準備出来たか?」


「あぁ、出来たよ」



有名料亭で身支度を整えた俺


スーツというのは、かたっ苦しくて何度着ても苦手だな……



「よかったよ、棗が乗り気になってくれて。これで安心して伊沢グループを任せられる。」


親父が、肩をポンと叩きながら言った


伊沢グループか………



「どうかしたか、棗?」



「いや、なんでもない。行こう」



ネクタイをギュッと締め直し、親父の後をついていった


料亭のとある部屋の前で止まった親父



ここか。


「もうお相手は来てらっしゃる。失礼の無いようにな」


失礼のないように…ね…。


「それは無理かも……」



「は…?なつ…」


「失礼します」



ふすまを開けると着物を着た女の人と、その人の両親、そしてお袋がいた