「怒ってる?あたしが突然別れようって言ったこと」



「……え」


じっと俺を見つめ、潤んだ瞳が揺らいでいる



意外なセリフに言葉が詰まった



「別に…怒ってないよ」



やっと出た言葉。



でもそれは嘘じゃない。



哀しみはあったけど、怒りは不思議なくらいなかった



「…そっか。よかった」


ホッとしたように柔らかくなった笑顔



「ねぇ、まだあの日と一緒の気持ち?」


「………えっ」




「うぅん、やっぱり何でもないのっ。じゃあまた明日ね」




そう言って手を振る花音




明日…か……。



明日は見合い当日。



正直、行くか行かないか迷ってた。



でも、今はっきりと決まった。









……花音、俺…見合い行ってくるわ。




花音の後ろ姿を、玄関のドアが閉まるでずっと見ていた……。