教室に着くまで一切会話をしない



こんなに離れていっちゃうもんなんだな……



前まで当たり前だったことが、今じゃ無理難題に等しい…



「対策、あたしが考えて明日提出するから」



…やっぱり話すことは最低限のことか……



………っっ


――グイッ


「えっ……」


「やっぱり、今、一緒に考えて帰ろ」



離れていく花音を見て、咄嗟に腕を掴みそう言っていた



まるで別れたあの日のように花音が離れていくみたいで、強く腕を握りしめた


「で、でも…。」


「でも?」



「……うぅん。何でもない」


そう言ってうつ向く



「じゃあ、考えよっか」



小さく頷き、自分の席に座った花音に俺も向かい合うようにして座った



プリントに目を向ける花音を、ついつい見つめてしまう


長く綺麗な髪が、窓から入ってくる風によってなびく



「……―どうしよっか?」



………へっ?




全く話しを聞いてなかった俺。



そんな俺を花音が見つめている