ロリーポップが不機嫌なワケ。





ホントに死んでる。

いやマジで死んでる。

死んでるとか不吉な言葉連呼して申し訳ないけど、いやあれはホント……。

リビングに入って真っ先に目に飛び込んできた光景。

ソファの上で体育座りをし、カクンと首をかたむけて白目向いてる永瑠。


『……ね、もはや亡骸でしょ』

『……そうだな』


リビングの入り口で立ち尽くしている俺を見上げ、英璃がふっと哀愁漂う感じで言う。

それから英璃は永瑠へと歩み寄り、目の前で立ち止まって手を振ってみせるが、応答なし。

……どういうこと。

英璃は呆れたように首を振り、俺に向かって手招きする。


『たぶん有架兄ちゃんが呼んだら反応する』

『なにその飼い主に従順の犬みたいな話』

『間違ってないと思う』

『よかったな永瑠がその状態で』

『この状態じゃなかったら僕も言ってない』

『それもそうか』


永瑠に大変失礼な会話をしつつ、俺は死んだように身動き一つしない永瑠の目の前で、顔を覗き込むように屈みこむ。

そして呼ぶ。


『永瑠ー起きろー』