永瑠はいまいち意味がわからないらしく、微妙な反応でとりあえずという風にうなずく。
女子の友情というものがどんなものかはよく知らないけど、男子の友情で嫉妬心に似たようなそれはありえない。
あったら「お前……これなのか?(オカマポーズ)」みたいな事態に陥るはず。
寒気しかしない。
「永瑠ちゃん、永瑠ちゃん!何してんの!早く行こうよー!」
いまだに左右に揺れて唸っている永瑠に、ニーナが声をかける。
永瑠はハッとしたように顔を上げ、振り返り、自分を見ている面々を見渡す。
あきらかに緊張し始めたのが後姿でも手に取るようにわかった。
「え、あ、うん……」
恐々とうなずき、それから何故か俺を見上げ、もごもごと。
「い、いってきます……」
思わず笑った。
「楽しんで来いよ」
言うと、永瑠はコクリとうなずき、手招きするニーナたちの方へと走って行った。
輪の中に入り、丘崎くんってヤツにさっそく話しかけられてビビッている様子を最後に、人ごみに紛れて見えなくなった。
それを見届けてから七瀬へと視線を向けると、どういうわけか、七瀬は微笑ましそうにこちらを見上げているわけで。
「なに?」
怪訝な表情を浮かべてそう尋ねると、七瀬は「なんでもなーい」と首を横に振った。