俺はあたふたと焦りまくる永瑠の頭を掴み、わしわしと揺さぶる。
「よかったじゃん」
「よ、よ、よかったのか……!?」
ぐわんぐわんと頭を揺さぶられることにさえ何も言わないとなると、永瑠はそうとう混乱しているらしい。
試しに手を放してみるけど、キャップが傾いていることとか髪の毛がボサボサになったとか、まったく気にも留めない様子で口を開く。
現在、永瑠の脳内には“どうしたらいいんだ!”ということだけが渦巻いているのだろう。
「で、でも、よかったけど、でも、オレその丘崎くんと話したことない……!」
言い訳のような言葉に、ニーナはニコリと笑って、永瑠の肩をたたく。
「大丈夫だよ!だって私とも話したことなかったじゃん」
「そ、そうだけど……」
「私もいるし、ね!」
「あう……」
逃げ道を失い、とうとう諦めたのか肩を落とす永瑠。
そんな永瑠に笑いかけてから、ニーナは顔を上げてきょろきょろと何かを探すように辺りを見渡すと、目的を見つけたのか手を上げる。
「丘崎くん!こっちー!」
「っ!?」
シュバッと首がもげるかと思うほどの勢いで、永瑠の顔が持ち上がった。


