ロリーポップが不機嫌なワケ。





突然、何かを思い出したのか、ニーナが勢いよく顔を上げた。

それから永瑠へと顔を向けると、「あのね」と。


「あのね、さっき丘崎(おかざき)くんたちに会ったんだけどね?」

「……おかざきくん?」

「うん、クラスの男子だよ?あれ、もしかして知らない?」

「……あんまり、覚えてない」


おいおい。

クラスのヤツくらい覚えとけって。

永瑠は懸命にどんなヤツかを思い出そうとしているのか、人差し指を額に当てて唸っている。

ニーナは苦笑しながら、


「ほら、えっと、サッカーが得意な一番後ろの席の……」

「あ!思い出した!」


霧が晴れたように、寄せていた眉をパッと持ち上げる永瑠。

何度もうなずき、思い出せたことにホッとしたように息を吐きながら、永瑠は話を元に戻す。


「うん、その、丘崎くんが?」

「あ、うん。“誰と来てるの?”って聞かれたから“永瑠ちゃんだよ”って答えたら、“あとで一緒に遊ぼう”だって」

「え!?」


よほど驚いたのか、結構な声で叫んだ永瑠に、近くにいた人が振り返った。

……新展開じゃん。