ロリーポップが不機嫌なワケ。





「ね!」と笑った七瀬に、永瑠は「え、えっと」とどうしていいかわからない様子。

……まあ、しょうがねェか。

一緒に探してやろうと思い、口を開きかけた俺は、しかし、


「あ、居た、やっと見つけた~!」


人ごみの中から響いてきた声に遮られた。

どこかで聞いたことのあるその声の方へと視線を投げると、人をかき分けるようにして、ニーナが駆け寄ってきているのが見えた。

永瑠も同じ方向を向き、「あ!」と声を上げた。

ニーナは永瑠の傍までやってくると、息を整えつつ喋りだす。


「よかった~見つかって~……心配したんだから~」

「え、あれ?オレだけ迷子……?」

「そうだよ!1人で先に行っちゃうんだもん!」

「ご、ごめんなさい……」


たぶん永瑠は友達と遊びに行くということに慣れてないから、緊張してたんだと思う。

緊張すると人の話を聞かなくなるのが永瑠の厄介なところで。

キャンプの前日とかずっとそわそわしてたし。

そんな永瑠から、ニーナは俺の方へと顔を向けた。

それから焦ったように頭を下げた。


「あ、えっと、こんばんは……!」

「こんばんは。悪ィな、永瑠が」

「なんで有架が親みたいに言うんだよ」