もう七瀬には喋らせないようにしようと思った俺は、引きっぱなしの永瑠に歩み寄る。
永瑠はいまだ引きつった表情で、俺を見上げた。
「な、なんだよ……」
「や、お前がこういう祭りに居るのが珍しいなと思って」
「あー、えっと、ニーナちゃんに誘われて……」
友達と一緒に遊びに行くということに慣れていないらしい永瑠は、自分でそう言って照れ臭いのか口をもごもごさせている。
俺はそんな永瑠を見て、微かに頬を緩めた。
「よかったじゃん」
「う、うん……」
永瑠は小さくうなずくと、そのまま俯き加減になり、自分の洋服の裾をもてあそぶ。
口をもごもごさせつつ裾を掴むその様子に、やっぱりなんかリスを連想してしまう俺。
で、そんなリスっぽい永瑠は、現在1人。
……まあ、わからないこともない。
口をもごもごさせてるところを見て、察してみないこともない。
永瑠が今何を言いたいか、理解できないこともない、から。
「……なんで1人で居んの」
どうしても聞いてしまうわけで。


