まさかここに永瑠が来ているとは思わなかった俺の方が“ゲッ”って感じなんだけど。
しかし、目が合ってしまいお互いの存在を認めてしまっているわけだから、無視するというのはちょっと気が引ける。
まあ、普段こういう祭りにはあまり顔を出さない永瑠が来ているということも気になるし、少し話すかと思い永瑠に歩み寄ろうとしたら、
「ハーイ、少年!」
俺より先に七瀬が話しかけていた。
しかもさらっと“少年”とか言ってるし。
永瑠は一瞬戸惑い、けれど笑顔で七瀬を見上げる。
「えっと、あの、こんばんは……」
「こんばんは!んとー、知り合い?」
「まあ……」
微妙な笑顔を浮かべたまま、永瑠は曖昧にうなずく。
前回エセ関西人に間違われた時もそうだけど、なんで笑ってるんだろうか。
普通、怒っていいところだと思うんだ、けど。
……気にしすぎ?
心中だけで首をかしげながら、とりあえず教えておかなければと俺は七瀬の肩を掴む。
人懐っこくて誰とでも仲良くなれるのが七瀬のいいところではあるんだけど、たまにこう、勘違いをしたまま突っ走ってしまうところがあるから困る。


