「うん!でもたこ焼き食べる方が先!有架のせいで食べ損ねちゃったんだから!」
七瀬はいまだ夢の話を根に持っているらしい。
食べ物の恨みは怖いというのはこのことか。
俺はポケットから財布を取出しながらため息をつき、袮夏へと振り返る。
「っつーわけなんで、ひとつ買うわ」
「リア充に売るたこ焼きなどない!」
「へえ……」
「サーセン全力で土下座します」
袮夏からたこ焼きを買って、ほくほく気分で頬張っている七瀬を横目に道を歩く。
ここの祭りは結構有名で、屋台なんかも数えきれないほど出ている。
大学に入って地元を離れていた俺には、少し懐かしい光景だ。
近くの河原で袮夏とかと花火やってた記憶がある。
たしかそこ花火禁止区域で、警察の方々に追いかけられた思い出もある。
ある意味青春なんだけど、危険すぎだよな。
とか内心で苦笑していた俺に、七瀬が声をかける。
「ね、リンゴ飴どこ?」
「まだ食うの」
「食べるよ?え?ダメなの?」
「太りマスよ」
「七瀬さんをナメてもらっちゃ困るよ。私、太らない体質なの!」
その容姿でその体質とか。
どうなってんの。


