「なんで居座ってんだよ……さっさと帰れよ隣だろ!」
「おばさんたちに挨拶したいから」
「お母さんたちは夜中じゃないと帰ってこねェよ」
「そっか。んじゃ一回帰ろうかな」
「いやでもいつ帰ってくるかわかんねェし居てもいいけど!」
「帰ってほしいのか居ていいのかどっちだよ」
「か、勝手にすればいいじゃん!」
「じゃあ勝手に居ることにする」
「あっそ!お茶とかお菓子とか出てこねェからな!少なくともオレは出さねェからな!」
「期待してないんでご安心をー」
「コイツっ……!」
悔しさを噛み砕くような顔をして、永瑠はリビングを出て行った。
……と思ったら、すぐに戻ってきた。
その手に抱えられていたのは、
「……夏休みの課題?」
プリントやら教科書やらノートやら。
その他もろもろを両手に抱えて戻ってきた永瑠。
永瑠の体が小さいからか、その荷物たちがヤケに大きく重たそうに見える。
それらをテーブルの上に投げるように置いてから、椅子に座って息をつく永瑠に、俺は。
「……なんでそんなの持ってきてんだよ」
「ここでしようと思ったからに決まってんだろ」
「何故ここでしようと思ったし」
「別にいいだろそんなの!どこでしようがオレの勝手だろ!」
「……ふぅん。まあそうだけど」
そこまで言ってテレビの方へと顔を向けた俺は、「あっ」とあえてワザとらしく。
「数学教えて欲しいならサイダーな」
……しばらくしてから、俺の目の前に荒々しくサイダーのペットボトルが置かれたことは、まあ内心だけで笑っておこうと思う。


