「それもそうかー」とか言いながら、七瀬は机やらベッドの下やらを覗きこみ、楽しそうに笑いながら。
「ね、エロ本とかいうのはないの?」
まさか彼氏の部屋で本人に直接それを聞いてくる彼女が居るとは思わなかった。
少なくとも俺には予想不可能だった。
たしかに、健全な男子の部屋には必ずそういう本が一冊くらいはあるかもしれないけど、残念ながら今この部屋にはない。
そもそも俺は今ここには住んでいないわけであり、っつーかそう言う系の本はすべて袮夏が持ってくるものだったりする。
というわけで。
「ない」
「えーそうなの?なんかそういうの探すの面白いかなーって思ってたんだけどなあ」
「その考えは一刻も早く捨てた方がいいと思う」
「そっかあ」
むうと口を尖らせつつも、残念そうに眉を下げる七瀬。
言うまでもないだろうけれど、七瀬はちょっと変わった性格をしてたりする。
容姿が完璧なだけに、内面の意外性にビビったりするのは否定できない。
俺も最初の方はビビった。
『布団がふっとんだってギャグ考えた人って、飛んでった布団どうするつもりだったんだろうね?』
なんて聞かれた時は3分くらい真剣に悩んだ記憶がある。
でもそういう他とは少しズレた考え方ができるからこそ、デザインの才能に優れているのかもしれないと思う。
そしてそんな七瀬だからこそ、


