思わずちょっと笑った。
2人して相変わらず、これだから。
懐かしいな、と浸りかけた、けど。
まさにその時。
だだだだだっバンッ!
「アリカ有架ああっ!聞いて聞いて聞いて聞いてええっ!」
ノックも何もなしに勢いよく部屋のドアが開け放たれ、どういうわけかものすごいテンションの高い永瑠が現れた。
日頃のあの不機嫌な顔のどこにそのテンションが隠れているんだろうか。
そう疑問に思ったところで、突如永瑠の表情が強張る。
目線はエセ以下略の方を向いていて。
……あー、そっか。
昨日の朝の出来事を思い出し、とりあえず袮夏を帰らせようと思って起き上がった俺、だった、のに。
「おー!永瑠ちゃんやないか!おはようさん!」
このバカは永瑠の様子にまったく気が付いていないようで。
っていうか今“おはよう”の時間なのか。
もう10時過ぎてマスよ、そこの変な関西弁喋る人。
ドアのところで固まっていた永瑠は、目を泳がせながらおずおずと頭を下げる。
「えっと、お、おはようございます……」
「せやから、そんなかしこまらんでええっちゅーねん!」
「え、えっと……その……」
「袮夏。あれかしこまってんじゃなくて、怖がってんの」
「なん、だと……!?」
反射的というふうにこちらを振り返った袮夏は、PSPを手から滑り落としていて、コイツそうとうなショックを受けたんだなと聞かなくてもわかった。


