『おっす有架!キャンプどうやった!?永瑠ちゃんにブッ飛ばされてブラジル辺りまで飛んで行ったんやないかと心配やったわあ』
『もはや地球の裏側まで飛んでんじゃねェか』
『お!“帰れ”とか言われるかと思ったんやけど言われへんかった!』
『ちょっとお前をブラジル辺りまでブッ飛ばそうと思って』
『なにそれひどい!!』
相変わらず騒がしい袮夏をブラジルまでブッ飛ばす気力も体力もなかったので、その策は諦めたんだけど、帰って欲しいことに変わりはないわけで。
『っつーわけで帰れ』
『なんやねんそれー!わざわざバッグを取りに来てやったっちゅーのに!』
『あーじゃあそれ返すから帰って。貸してくれてドウモアリガトウ』
『まったくありがたみが感じられへんのは俺だけやないと信じてんで……』
『俺は今お前のボケにツッコム体力がないんで。そこをどけ。俺は寝る。そしてお前は土へ還れ』
『死んでほしい勢いで俺がウザイんか!』
『あー眠い』
『もはや存在すら抹消されただと!?』
ぎゃーぎゃーとうるさい袮夏は、マジで帰る気がないようで、一向にベッドから降りようとしない。
もうホントで過去の俺を怨む。
なんでこんなヤツとダチになったんだろう。
たまたま同じクラスになってたまたま前後の席になり授業中に袮夏が「お前あんぱん持ってへん!?」とか言って話しかけてきた時にあんぱん渡さなきゃよかった。
なんであの時俺はあんぱん持ってたんだろう。
なんであんぱんじゃなきゃダメだったんだろう。
後悔してもこの現状が変わるわけじゃない、か……。
『……わかったよ勝手に居ればいいだろ』
と腹を括った俺に、袮夏は『さすが同志!』とかなんとか言ったかと思うと、ベッドの脇に置いていたバッグの中から大量のゲームソフトを取り出して、ニッと笑って見せた。
『これ全部クリアしようやないか!』
どうやら俺は完璧にダチを間違えたようデス。


