ずずずっと盛大に鼻をすする永瑠はホントに女子なのか。
ちょっと可愛く鼻をすするみたいなことはしないのか。
まあ永瑠がそういうヤツだっていうのは、昔からわかってるから気にしないけど。
俺は涙と鼻水であうあう言ってる永瑠がなんか可哀想になってきたので、
「……車からティッシュ取ってくる」
そう言って立ち上がろうとした……
……んだけど。
「……いいっ」
「うおっ」
Tシャツの裾を引っ張られて立つに立てなくなった。
車へ向かおうと後ろを向く体勢になって居たので、振り返りざまに声をかける。
「お前な、引っ張んなよTシャツ伸びんだろ……って、なに人のTシャツで鼻すすってんだよバカ!」
「すすってねェ!」
「鼻水と涙がスゲェついてんじゃねェか!」
「洗えばいいだろ!」
「ふざけんなお前が洗え」
「わかった洗う」
「マジかよ」
「うん」
「…………」
「…………」
「……で、いつまで鼻水つけるつもり?」
「……止まるまで」
つくづく、不器用なヤツだと思う。
……泣きつくんなら、もっと素直に泣きつけっつの。


