ロリーポップが不機嫌なワケ。





焦ったような声を発した永瑠を無視して、俺はカウントを始める。


「さーん、にー、いー……」

「もうホントお前サイテー……」


不承不承と言いたげにそう愚痴りながら、目を擦りつつ顔を上げた永瑠。

完璧には顔を見せてはくれないけど、まあ、いっか。

その赤い目を見つめ、俺は言う。


「お前は頑張った」

「…………」

「ホントすげェと思うよ」

「……有架」

「1人のために立ち向かったって、その事実だけで充分だろ」

「……うん」

「誰がなんて言おうが、俺は永瑠がすごいと思う。それじゃダメか」

「……ダメ、じゃない」


永瑠は瞳に溜まる涙を拭きながら、首を横に、何度も振ってみせた。

何様だって感じだけど、とにかく、俺は永瑠の味方だってことを、どうしても伝えなきゃなんないと思った。

何度も嗚咽を呑み込む永瑠に、俺はワザと、ニッと笑いかけ、


「っつーわけで、泣きつくの、受け付けるけど?」

「う、うるしぇ!だっ誰が泣きちゅくかっ!」

「呂律が回ってないデスよ」

「は、鼻水のせいだしっ……!」