リビングには俺等しか居ないし、加えて永瑠がさっきから黙り込んでいるので会話がなく、かなり静かだ。
「……なあ、永瑠。お前等、いつもこんなんなワケ?」
試しに尋ねてみると、永瑠は前髪の間からこちらに目線だけを向け、「なに?」と返事を口にした。
よかった返事が来た。
「や、だから、いっつもこんな静かなんだ?飯食う時も?」
「そんなことねェけど。今日はたまたま親の帰りが遅いだけだし。ってか、お前が常にうるせェだけなんじゃね?」
「お前に言われたくない」
「なんだと!?」
「ホラ、うぜー」
「そういうお前が一番うぜェ!」
「ごちそうさま」
「てンめェ……っ!」
箸を握り潰さん勢いの永瑠をスルーして、俺は自分の食事を終える。
イライラした様子の永瑠を横目に皿を片づける俺は。
ふと、リビングの棚に置かれた写真立てが視界の端に映って、手を止めた。
……家族写真だ。


