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一応言っておくけど、俺は永瑠と英璃の家族じゃない。
まあ家族に近いと言えばそうなんだけど、正確に言えばただのご近所さんで、ちょっと親しみをこめて言えばヤツ等と幼なじみな感じだ。
俺は今大学生で、歳は20。
つまり俺が6歳の頃、永瑠が生まれたことになる。
俺等が住んでいるのは結構デカイマンションで、その頃は運悪く、俺の住む部屋の近くに、一緒に遊べるような年代のヤツが居なかった。
そのため、俺は隣の部屋に住む永瑠たちと遊ぶようになったし……。
……あ、“たち”っつってもわかんないんだっけか。
永瑠には昔、双子の兄弟が居たんだが、まあソイツが、ちょっと、事故で。
えーっと、まあその話はいいとして、とにかく俺等はよく一緒に遊んでた。
故に、ガキの頃から一緒に居る俺等はもはや家族も同然で。
けど、俺が大学生になって家を出て行ってからちょっと疎遠になったのは否めない。
……だから、久しぶりに家に帰ってきたついでに、第2の家であるお隣に向かったわけなんだ、けど。
「…………」
「…………」
「……英璃。なんで俺睨まれてんだと思う?」
「いや僕に聞かないでよ」
俺の目の前に座って黙々と晩飯を食いながら、何故かこちらを睨んでくる永瑠。
目が合って見返すと逸らされる。
意味が分からない。


