俺は永瑠の頭をわっしと掴むと、その髪の毛をぐしゃぐしゃにする。
見た目よりも細い、さらさらした柔らかい髪の毛だ。
「お前が1人で居たから気になって来てあげたんですけど?」
「別に来てくれなんて頼んでないし!」
「そっか。じゃあ俺は寝る。おやすみ」
髪の毛から手を離そうとすると、永瑠はガシッとその手を掴んだ。
自分の頭に俺の手を押しつける永瑠に、俺は立ち止まらずおえない。
「寝るな!せっかく来たなら、まあ座れ!」
「どこに」
「……じ、地面!」
「おやすみ」
「待て!嘘だ!オレがどくからここに座ればいいだろ!」
慌てて立ち上がろうとした永瑠の頭を今度は俺が抑え、強制的に座らせる。
その横にしゃがみこむ俺を見つめる永瑠は、やはり必死そうで。
「冗談だって。これでいい」
「そ、そっか……」
「うん」
「…………」
「…………」
「…………」
「……眠れねェの?」
「……ホントは、眠いけど」
「テントの中は騒がしそうだしな」
「……うん」


