集団から少し離れた木陰まで歩き、そこに腰を下ろす。
とりあえずこの時間での役目は終わったし。
ちょっと休もうと思って深呼吸した、それと同時に、
「なに勝手に休んでんだよ」
頭上から、聞き慣れた声が降ってきた。
顔を上げると、そこにはいつも通りの表情をした永瑠が居て、一瞬、さっき見た永瑠は偽物なんじゃないかとさえ思った。
日陰から立ったままの永瑠を見上げるのは眩しくて、俺は無意識に目を細めた。
「……ここでの役目は終わりましたヨ」
「何か手伝えよ。カレー作るのとか」
「却下」
「手伝うくらいいいだろ」
「……っつか、お前こそ何やってんの。カレー作れ」
「うっ……」
まずった、と言いたそうな永瑠の顔。
何か言い返そうとしたのをやめてしゃがみこんだ永瑠に、ようやく目を細めなくてよくなった俺は小さく息を吐く。
永瑠は地面に生えた雑草を引っこ抜きながら、ぼそぼそと聞き取りづらい声量で喋る。
「……だって、なんか、こういうの面倒だし……」
「……俺もそうだったけど」
「だろ!?なんでこんなことしなきゃなんないのかわかんねェ。役立たねェだろ」
「でもやんなきゃ終わんねェよ?」
「そうだけど……」
むーと押し黙った永瑠は、次いで溜息をつき、立ち上がる。


