あまりに小さな声だったので、本当にそう言ったのかどうかはわかんないけど。
永瑠は窓の方を向いたままだったから、表情も見えなかったし。
しかたない聞き返そう、と思ったけど、それもできなかった。
理由は、
「……っていうか、さっきは怒ってて聞けなかったんだけど、お前車運転できたんだな……」
とかいう永瑠の言葉に、心底呆れてしまったからで。
……俺のこと何歳だと思ってんだろうコイツ。
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早々に帰りたくなってしまった。
「あなた若いわね~!どこの方?」
「あら、見ない顔!」
「肌綺麗ね~若いっていいわ~」
「きゃー!これがイケメンってヤツね~!私どうしようかしら!」
「どうやったらこんな美形ができるのよ~……」
「遺伝子よ遺伝子。私等にはムリね~!」
“あはははは!”と楽しそうに笑う奥様方に、俺は苦笑。
……なんで俺奥様方に絡まれてんの。
生徒たちがオリエンテーションをしている間、保護者側はいろいろと下準備をしなければならないらしく。
俺はもちろん力仕事を頼まれたわけなんだ、けど。
「あなた名前は?何歳?」
「もう彼女さんとか居るのかしら!」
「居るわよね~かっこいいもの~」
……どうにも逃がしてくれそうにないわけで。


