ロリーポップが不機嫌なワケ。





……っつか、やっぱすぐ怒ってんじゃん。

とは思うものの、でも助手席の永瑠が噛みながらも“嫌いじゃない”って言ってくれたその言葉を信じることにする。

っと、それよりも。


「どうする、それ?」

「え、な、なにがだよ」

「ロリーポップ。いる?」

「な、なんで」

「嫌われてないなら俺が機嫌取ろうかと思って」

「意味わっかんねェよ!」


“意味わかんねェよ”の間にスタッカートが入っていたことに俺は笑う。


「じゃ、いるんだ?」

「いる!欲しい!」

「はいはい、どーぞ」

「ま、まあでも別にお前が機嫌取ってくれてもいいけどさ!?」

「欲張り」

「やっぱ遠慮する!」


ぐるんっと顔を向こうへやってしまう永瑠。

その手に握られたロリーポップは未開封のまま。


「……結局食べねェの?」


いつもならすぐ食べるのにと不思議に思って尋ねると、永瑠は「うん」と窓の方を向いたまま頷く。


「集合場所着くまでに食べきれなそうだし……」


“お守りにしたいし”


答えた後、微かに、そう聞こえたような気がした。