そこまで必死に言ってくれなくてもいいんだけど。
でもまあ、ちょっと安心した。
俺は笑いながら、永瑠の頭をポンと軽く叩いた。
「そりゃどーも」
「……べ、別に……」
プイッと前を向いて、尖らせた口はそのままに、永瑠はもごもごとそうつぶやく。
手に持ったロリーポップをくるくると回しながら、目線はずっと回るそれを見つめている。
横目に映るその頬が、なんとなく赤いように思えるんだけど。
……気のせい?
「……永瑠」
「な、なんだよ」
「なんで赤くなってんの」
「は!?」
予想外の大声に俺は思わず左耳を手で押さえた。
そんなことお構いなしという風に、永瑠は声を張り上げる。
コイツ今車の中だってわかってこの大声出してるんだろうか。
いくらオデッセイの車内が広々していようが運転席と助手席の距離はメートル単位じゃないんデスよ。
「そんなわけねーよ意味わかんねェし!意味不明だし!っていうかなんで見えるんだよ!こっち見んなし!」
「……あーはいはい悪かった」
見てるわけじゃなくて単に横目に映るだけだし、赤くなってる理由が意味不明なのはこっちの方なんだけど。
しかしそれよりもなによりも、まずその大声をどうにかしてほしかったので、俺はもう何も言わずに謝るだけにしておいた。


