ロリーポップが不機嫌なワケ。





「いてっ」

「やる」

「え、なに」

「ロリーポップ」


答えると、永瑠は頭に当てられたロリーポップを手に取る。

俺は入れ替わるようにそれを手放し、代わりにハンドルを握った。

ちょうど信号が青になったのでアクセルを踏む。

前方へと顔を向けた俺の横目に映る永瑠は、さっきよりは緩んだ表情で、けれど口はとがったまま。


「……やっぱこれで機嫌取ろうとしてんじゃん」

「嫌いなヤツに機嫌取られるよりマシかなと思って」

「へ?嫌い?」

「だってお前、俺のこと嫌いだろ」


前を向いたままさらっと言ってみたけど、内心ちょっと気分降下。

なんでかって聞かれると、上手く説明できなくて、答えに困るかもしれない。

どう説明したらいいだろうとか考えていた俺の隣、永瑠は何故かブンブンと思い切り首を振っていた。

そんなに首振ると頭取れますよ。


「え、ち、違う!なんで、そんな!」

「……や、なんかいっつも不機嫌だし」

「そ、それは、その……で、でも違うってば!」

「…………」

「えっと、あの、き、嫌いじゃねェから……!」

「……ふはっ」


どうしてか必死になってそう言ってくれる永瑠に、俺は思わず笑った。