次はもう頼むなよという意味を込めてそう言うと、永瑠は「うん!」と、すでにホッとしているような顔で首を縦に振った。
意味がわかってうなずいているのか、いないのか。
……でも、たぶんまた何か頼まれたら、断れなさそうだけどね、俺。
「……んで、それいつ?」
「え、キャンプ?」
「うん」
「えーっと、い、いつだったっけ……」
「それも覚えてなくて頼んだのかよ」
「うっ……だ、だって、頼むことで頭いっぱいで……」
日付もド忘れしてしまうほどに頑張っていたらしい永瑠は、あたふたと部屋の角に置いてある勉強机へと小走りする。
それから永瑠は机の上に載っている宿題をどけて、一番下になっていたファイルを手に取り、中を漁り始める。
そして目当ての用紙を見つけたようで、「あった」とつぶやきながらそれを取り出し、曜日を確認した永瑠、は。
「あ……」
“しまった”と言う風な声を上げた。
「……どうした?」
「……ごめん、有架」
気になって声をかけると、永瑠は“笑えない状態で必死に笑ってる”みたいな硬い笑みを顔に貼り付け、俺へと振り向きながら謝ってきた。
“なにが”と俺が聞くより先に、永瑠が口を開いた。
「……キャンプ、明日だった」
……ホント、なんで俺、こんな目に遭ってんの。