どんな違和感か、と聞かれたら、答えに戸惑う。
けど、確実に何かをふと感じたのは否めない事実でもあって。
でもその正体が掴めないのは、
「有架くん、大学の方はどう?」
未花子さんが数年前と全く変わっていなかったからかもしれない。
「まあ、それなりに楽しいですよ」
「そう。よかったわ。彼女なんかもできたのかしら?」
聞いてくるかなとは思ったけど、実際聞かれるとやっぱちょっと戸惑う。
「あー、まあ、一応……」
苦笑を浮かべながら曖昧に頷くと、未花子さんは静かな微笑をそのままに。
「あら、そうなの?今度紹介して欲しいわ」
「あはは……機会があれば」
「……さっき連れてくるみたいな電話してたクセに」
いつの間に気を取り直していたのか、ソファの背もたれに寄り掛かったまま口をとがらせ、俺を睨み上げる永瑠がボソッとそんなことを言う。
コノヤロウ。
という意思を籠めて永瑠の頭に手を持っていき、髪の毛をぐしゃぐしゃにしてやる。
「やめろバカ!」とかなんとか喚いて手から逃れようとする永瑠を見て、
「るーちゃんは有架くんと居ると本当に楽しそうね」
と、未花子さんはくすくすと笑う。
笑いながら、ふと何かを思いついたように顔を上げ、
「せっかくだから、有架くん、ウチで晩ご飯食べて行ったらどうかしら?」
と、未花子さんは小首を傾げてそう提案を口にした。


