ロリーポップが不機嫌なワケ。





「永瑠、遊び行くぞ」

「……はい?」

「どーせ暇なんだろ」

「なっ……!」

「今日はなんか、面白ェことしたい気分だし」

「…………っ」

「とりあえず笑おう」

「…………」

「永瑠は、どうする?」


永瑠を見下ろし、そう尋ねる。

呆然としたように俺を見上げていた永瑠は、瞬きをして、大きくうなずいた。


「わたしも笑う!」


まさかそんな答えが返ってくるとは。

勢いよく立ち上がった永瑠に、自然と笑みがこぼれた。


「んじゃ、行くか」

「うんっ!」


木陰を離れ、歩き出す。


いつまで、こうして泣いたり、笑ったりできるのか。

わかんねェけど、今はとりあえず笑いたい。

俺等はたぶん、きっとそうやって生きていくよ。

振り返ってみたり、バカみたいに笑ってみたり。

泣いてみたり、そしてまた、笑ってみたり。


そうやって、生きていくさ。


さて、今日はどんなバカやって笑おうか。

そんなことを考えながら、口の中のロリーポップを噛み砕く。

不機嫌そうに弾けたそれは、笑えるくらいに甘かった。





【End】