コイツの言う“いいこと”とか“面白いこと”は大抵が厄介ごとに巻き込まれる前兆だったりするんだ、けど。
『あれやで!高校ン時のヤツ等がこっち帰って来とるらしいねん!』
今回はホントの“いいこと”だった。
「マジか」
『マジマジ!ホンマ!っちゅーことで、今から全員集合で遊ぼうやないかー!』
いつもより更にテンションの高い袮夏の気持ちもわからないことはない。
むしろ俺もちょっとテンション高くなった。
二つ返事でOKしようとして、ふと隣に居る永瑠の存在を思い出す。
そして思いつくこと。
……よし、そうしよう。
「……おー、いいじゃん」
『せやろ!』
「そーだな。今からそっち行くわ。2人で」
『むむ?2人?誰や?』
「まあ、待っとけ。んじゃ」
袮夏の質問には答えずに、そのまま通話を切った。
携帯を閉じてポケットに押し込みつつ、ベンチから立ち上がる。
それから振り返ると、永瑠が座ったまま俺を見上げていた。


