ロリーポップが不機嫌なワケ。





“一応”と口にした永瑠にちょっと笑う。

それから、もらったロリーポップを開封する。

口に入れると、ホッとするような甘さが広がった。

……危ねェ。

なんかまた、泣きそうになったじゃん。

涙腺ってヤツは、一度緩むとしばらく緩みっぱなしだから困る。

向こうの方に膨れ上がっている積乱雲を見上げて、泣きそうになったのを誤魔化した。


隣に座る永瑠は何も言わない。

夏の風に、細い髪の毛を揺らしている。

その表情は、どうしてか少し、不機嫌そうだ。

しかも口がもごもごしてるし。

何が言いたいんでしょうか、永瑠チャン。


「……なんでそんな不機嫌そうなんだよ」


気になって尋ねてみる。

すると永瑠は、ハッとしたように肩を上下させた。

動揺しているのがバレバレである。

目まで泳いでるし。


「……別にそんな顔してないしっ」

「いやしてるし」

「うっ……」

「どうしてそんなに不機嫌なんですか」