次にポケットから出てきた永瑠の手には、見覚えのあるものが握られていた。
いつも俺が、永瑠に差し出していたもの。
それが今、永瑠から俺に差し出されていた。
「はい、ロリーポップ」
「……わかるけど」
「あげる」
「……なんで」
「お返し」
「お返し?」
意味が分からずに復唱する。
なんのお返しだろうかと。
永瑠はロリーポップを俺に差し出したまま、口を開く。
「……有架、ずっと知らなかったでしょ」
「……なにを?」
「わたし、別にこれ、好きじゃないよ」
「…………っ」
「“これ好きなんだー”って嘘ついてた」
「……なんでだよ」
またひとつ、秘密が明かされる。
「有架が、これくれるのがうれしかったから」


