握っていた手を緩める。
そしてもう一度握る。
指が自然と交差した。
手のひらから伝わる体温。
心地いい温度。
いとしい温度。
「……私も」
そっと唇が離れる。
七瀬の静かな声が、鼓膜を揺らす。
「……愛してる」
そう云ってくれた、声を。
唇を。
瞳を。
指を。
体温を。
……全部。
きっと一生、忘れない。
だから何度も。
何度も、唇を重ねた。
酸素を分け合うように、繰り返し。
熱を溶かすように、深く。
離したくないと、幾度も。
数え切れないほどに、口づけを交わす。
夜が明けるまで、ずっと。
永遠のような、一瞬。


