ロリーポップが不機嫌なワケ。





一生懸命、隠してるみたいだけど。

残念ながら、バレバレです。

伊達に約2年、一緒に居たわけじゃないよ。

泣き顔を見られるのが嫌いなことも知ってる。

泣くのをこらえてると、いつもよりはしゃぐ癖があるのも知ってる。

ずっと、涙が出そうなのを、笑って誤魔化していたことくらい、わかってる。

わかってるから。

だから。


「……泣いていいよ」


七瀬を抱きしめる腕に、少しだけ力を込めた。

その腕の中で、七瀬は何度も頭を振る。


「……泣かないっ」

「……七瀬」

「泣かないって決めて、だからここに来たんだもんっ……」

「……うん」

「泣きたくないっ……泣きたくないのにっ……」

「……うん」

「ぜったい、有架には笑顔覚えてて欲しくてっ……なのに、なんで涙が出るの……っ」


抱きしめる腕を、緩める。

七瀬はいつまでも顔を上げてくれない。

……バカか、と。

その震える髪の毛に、ひとつ、キスを落とした。