そんな永瑠の罵声を背中で受け流し、ドアを閉めてリビングへと向かう。
その途中、自室から狙ったように出てきた英璃(えいり)とバッタリ遭遇。
「有架(ありか)兄ちゃん、姉ちゃん自分のこと“お子様”って言われるとすげぇ怒るから気をつけた方がいいよ」
ケロっとした顔でそう言う英璃は、14歳の永瑠より2つ年下の弟だ。
永瑠よりよっぽど大人な性格してると思う。
「あー、わかってる。知ってる。あえて言ってみた」
「うわーサイテーだよこの人!」
「へえ。言ったな?」
「ごめんなさいなんでもないです!あ、そういえば彼女とかできた!?」
「話変えるの下手すぎ」
おもむろに話題を変更させる英璃に、俺はちょっと笑い、そのまま質問に答える。
「……まあ、一応居るけど?」
「え、うそ、マジで」
何故そこでそんな“信じられない”みたいな目をされなければならないのか。
まあたしかに高校ン時はとある輩のせいでバカばっかやって過ごす羽目になり、彼女が居る居ないの次元からはかなり離れた生活してたわけだけど。
英璃は微妙な表情になり「へーそっかー居るんだーへえ……」とかなんとか、同じようなことを何度もつぶやきながら、俺の後ろの方へと視線をよこした。
その意味がわからずに軽く眉をしかめたと同時に、腰辺りに衝撃を受けた。
なんか俺蹴られたっぽいんだけど。


