七瀬の申し出に、俺はリモコンで電気を豆球にしながら答える。
七瀬は暗闇が苦手なのだ。
だから常に寝る時は豆球だし、窓はカーテン閉めずにレースカーテンだけ閉めて寝るようなヤツだ。
例に漏れず、今日もカーテンは開けっ放しである。
街の輝きとかが余裕で部屋を明るく照らしているけど、果たしてこれで眠れるのか。
と思っていた俺とは正反対に、
「これ豆球にしたの!?暗い!え、暗い!」
すっげえ怖がってる七瀬チャン。
これが暗いとかどんだけなの。
……あ、そうか、七瀬の部屋のベッドはライトがついてんだっけ。
いつもより暗く感じるのも無理ないか。
でもたぶんこれ以上明るくすると今度は俺が眠れないので勘弁してほしい。
「わーん暗いよー!懐中電灯どこー!?」
「……もしかして昨日懐中電灯つけて寝てたのか」
「うん!だって暗いもん!」
マジっすか。
修学旅行の夜気分っすか。
おいおい。
七瀬は自分の目を両手で押さえて「暗い暗い」と繰り返している。
俺はそんな七瀬を見つめて、密かにため息。
……ったく。


