「スペース、フォーユー!」
「そんな英語で外国行って大丈夫か」
「ちゃんと喋れますー!」
と口を尖らせながらも、七瀬は空けたスペースを叩くことをやめない。
しまいには、
「ヘーイッ!カモーンッアリカーッ!」
とかなんとか意味不明な言語を口走りながら両手を広げてニッコリ笑顔を浮かべるフリーダム・ナナセ。
まさかそのノリでフランスに行くつもりじゃないだろうなコイツ。
半ば呆れてドア付近に突っ立っていると、七瀬は「むう」と頬を膨らませて横向きにごろんと寝転がった。
しかも壁向き。
あ、いじけた。
「いいもんいいもん。七瀬さん1人で寝るもん。別に寂しくなんかないんだからね!」
何故ここでツンデレを発揮されなければならないのか。
けどたぶん、呪文の如く「寂しくないもん寂しくないもん」とつぶやいているところ、どうやら本音らしい。
……まあ、それくらいわかるけど。
俺は小さくため息をつき、開けようとしていたドアノブから手を離す。
ベッドに歩み寄り、七瀬の空けたスペースに腰を下ろした。
スプリングが跳ねたことでそれがわかったのか、壁を向いていた七瀬は顔だけこちらに向けた。
それから俺を見上げて、ニコーッと笑顔。


