「……あ、そうだ!」
突然、七瀬がこちらを向いた。
もう声の調子で“いいこと思いついた”ってことがバレバレで。
それに加えて瞳まで輝かせているモンだからそう思わずなんと思う。
「こうやって、今までのこと全部話しましょー!」
「……は?」
「ほら、さっきの話、お互い知らないこと知れたじゃん!だから、もしかしたら、もっと知らなかったことがあるかもしれないって思って!」
「まあ、そうかもだけど……」
「だけど?」
「忘れてそう」
「ひどーい!」
「嘘。たぶん覚えてる」
「たぶんってー!」
「大丈夫、覚えてる。出会った時も覚えてたわけだし」
「それ信じるよ?信じちゃうよ?」
「どーぞ?」
ニッと笑ってみせると、七瀬もニマッと両方の口角を持ち上げた。
普段なら、昔のことなんて記憶の海に霞んでしまって、思い出せないかもしれないけど。
この時間。
七瀬と楽しく、笑い合える最後の時間だったから。
だから、鮮明に、七瀬と居た記憶を、思い出せたんだろう。


