ロリーポップが不機嫌なワケ。





呆れて何も言えない俺に、脳内は絶賛小学生or中学生男子!的な七瀬さんは不満そうな表情を浮かべる。


「むー。反応が薄い!」

「どう反応しろと」

「もっと照れてみればいいと思う!」

「照れより呆れの方が勝った」

「このドライアイスめ!」


なんでドライアイスなのか。

エセ関西弁野郎が俺のことをそう呼んだりするけど、なにゆえ七瀬までドライアイスなのか。

もっと他に例えはないのか。

ドライアイスは触ると火傷するし。

あぁ、なるほど。

“俺に触れると……火傷するぜ?(キリッ)”

みたいな?

アホか。


「……あ、そういえば」


柵の上に置いて手で支えているサイダーのペットボトルを見つめながら、七瀬が不意に口を開く。


「初めて有架に会った時も、私“ドライアイスみたいだなー”って思った気がする」

「……そんな冷めた態度だったのか俺は」

「あれ、覚えてないの?」


2年前くらいの記憶は結構曖昧だったりするのだ。

七瀬と初めて会ったのは、たしか大学入ってすぐくらいだった気がする。