「なんか、このサイダー開けた時の音って、いいよね」
「思った」
「爽やかだよねー。“夏!”って感じ」
サイダー開けただけでこの表情だよ。
小さな幸せを見逃さない七瀬は、ホント、すげえ。
その小さな幸せを噛み締めるように、七瀬はサイダーをごくっと一口。
「ん~っ!美味い!」
「オヤジか」
「え、自然とこうなっちゃうよ?ならない?」
「ならない」
「そっかー。あ、サイダーどうぞ!」
「どーも」
差し出されたペットボトルを受け取る。
キャップを外したままのサイダーに口をつける。
ごくりと一口。
サイダーのしゅわっと感が喉を通って行くのを認めて、ペットボトルを口から離す。
それを七瀬に渡そうと顔を向けると、七瀬はニッと笑っていて。
なんだそのイタズラっ子みたいな顔は。
「えへへー!関節チューっ!」
「…………」
小学生もしくは中学生男子が言いそうなセリフを現役女子大生が言っちゃうってこれどうなの。


