「……七瀬、お前はオヤジか」
「ひどい!だってほら、やっぱりお風呂上りってビールだよねーって思うじゃん!」
「いやお前風呂上りじゃねェし」
「え、じゃあ私もお風呂入ってくる!ちょっと待ってて!」
手に持っていた缶ビールを冷蔵庫に戻したかと思えば、慌ただしくバスセットを抱えて風呂場へ直行する七瀬さん。
いや別にそういうワケじゃ……あぁもういいや。
*****
15分くらいで戻ってきた七瀬が予定通りビールを飲もうとしたので全力で止めた。
「なんでダメなのー!私成人してますー!20歳ですー!」
「そういう問題じゃねェよ」
「じゃあなんでー!」
「お前酒飲むと泣き上戸になんだろーが!」
「う゛っ……!」
「しかもすぐ酔うだろ」
「うぅっ……!」
「はい没収」
「うわーんっ!」
七瀬の手から缶ビールを抜き取る。
その後を追うようにして手を伸ばし、しまいには座っていたソファに転がる七瀬。
そのままソファの上で駄々をこね始めたので、しかたなく冷蔵庫にあったサイダーを持ってきてうつ伏せの後頭部に乗せる。
頬を膨らませたまま顔を上げた七瀬の前に、サイダーのペットボトルを揺らして見せた。


