「……永瑠っ……!」 我が子を呼ぶ、母親の声。 それはとても、あたたかかった。 「……おか、さん……」 震える声で、永瑠は呼んだ。 大好きな母親を、その声で呼んだ。 「お母さんっ……!」 駆け出したのは、親子同時。 まるで小さな子供のように。 母親の胸に飛び込んだ永瑠を、母親の未花子さんは、迷うことなく、抱きしめた。 ぎゅっと。 強く、強く。 「ごめんね、ごめんね永瑠っ……」 何度も何度も、未花子さんは謝った。 永瑠はそのたびに首を振る。 何も言わないのは、たぶん、泣いているから。