何故か自信があった。
今、俺の隣を歩く、誰よりも強くて、誰よりも周りの人を大切に思う永瑠の母親が、大丈夫じゃないわけがないと。
そんな、根拠とも言えない根拠があった。
だから、永瑠を見た。
永瑠も、俺を見ていた。
自然と目が合う。
すると永瑠は、微かに笑った。
「……うん」
うなずく永瑠に、俺もちょっと笑った。
なんとなく、うれしかったのだ。
笑ってくれたことが。
自分でも単純すぎるとは思うけど。
でもやっぱ、誰かが笑ってくれるっていうのは、不思議とこちらまで笑顔になってしまうもので。
それが心からの笑顔だと、なおさら幸せで。
もしかしたら、立ち止まった永瑠もそれを願っているのかもしれない。
マンションを見上げて、自分の帰る場所を見つめて。
大好きな母親が、心から笑ってくれるのを、願っているのかもしれない。
「……有架」
不意に、マンションを見上げたままの永瑠が俺を呼んだ。
次いで、俺の服の裾を、少しだけ握った。
「……こうしてていい、ですか」
なんで敬語なんだよ。
ちょっと笑っちまったじゃねェか。


