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夕暮れの道を歩く。
ゆっくりと足を進める永瑠の歩調に合わせて歩く。
たっぷりと川の水を含んだ服が重たい。
永瑠は赤く腫れた目をして、自分のTシャツを絞っている。
川から上がってそれなりに乾かしたはずだけど、いまだに絞ると数滴の水が落ちた。
落ちる水滴を見ながら、永瑠はつぶやく。
「……頭痛い」
「そりゃ、あんだけ泣けばな」
「声枯れたかも……」
「……だな」
永瑠はTシャツから手を放し、シワを伸ばす。
そのTシャツの裾を見下ろしつつ、ポツリと。
「……お母さん、大丈夫かな」
たぶん、それが今、一番気になっていることなんだろう。
……大好きなんだな、お母さんが。
なんて。
そりゃそうか。
大好きじゃなきゃ、自分を犠牲にしてまで、守ろうなんて思わない。
「……大丈夫」
俺はそう、当然のように口にした。


