ロリーポップが不機嫌なワケ。





――ぎゅっと。


腕の中で震える永瑠を、ぎゅっと、強く抱きしめた。

抱きしめた小さな体は、冷たかった。

とても、冷たかった。

けれどそれは、温めてやれる冷たさだった。

だから温めてやりたかった。

だって、永瑠は――……



「――生きてるよ」



……――ずっと、ずっと。

ずっと前から。

出会った時から。

永瑠はずっと、息をしている。

ここに居る。

ここに居るんだ。


……あの日。

川岸で、冷たくなった双子の片割れを。

必死で呼び続けていたのは、たしかに。




――たしかに、永瑠だったんだ。