『……ま、またまた~……あはは、うん。……そうだね。よし!七瀬さん頑張っちゃう!』

「ははっ頑張れ」

『うん!じゃあ、またね!』

「あぁ。また」


携帯の通話終了ボタンを押し、息をつく。

あー、今さら心臓がすっげーうるさいんだけど。

つか、ある意味アレってプロポーズもいいとこなんじゃね?

とか思った直後。


「カレカノ通話は部屋の隅っこでしやがれ」


隣のベランダから唸り声のようなものが聞こえてきた。

見なくてもわかるけど、一応そちらへと顔を向ける。

案の定と言うべきか、永瑠がベランダの手すりに寄りかかるみたいな格好で、今日も今日とて不機嫌顔を浮かべてそこに居た。


「なに、永瑠。うらやましいって?」

「別に。ってか携帯切った後に緊張してることを思い出してンなよヘタレ!」

「うらやましいからって怒んなよ」

「うるせェ!」

「っつーか、なにお前、盗み聞き?」

「偶然だし!ってか、アレだ!母さんたちが今日は早めに帰ってくるらしいから、こっち来ればいいんじゃねェの!?」

「もっと素直に誘え」

「なっ、なんだよ!せっかくオレから呼んでやったのに!」

「はいはいアリガトウ。んじゃ、今から行くわ」