「オレは永瑠じゃないっ!永瑠は死んだんだっ!」
「死んでない」
「でも死んだって……死んだって言われたんだっ……!でもオレは、実瑠にもなれなかったっ……」
「……永瑠」
「永瑠って呼ぶなッ!」
「……永瑠」
「呼ぶなッ!オレは永瑠でも実瑠でもないんだよ!じゃあオレはなんなんだよっ!誰なんだよッ!生きてる意味あんのかよっ!もうヤダよ、死にたいんだよ……」
「…………」
「でも死ねないんだよっ……」
「…………」
「まだやりたいこといっぱいあるよっ、実瑠の分まで生きるって決めたんだよっ……」
永瑠の肩は震える。
喉の奥から、絞り出すような声。
流れる川の音に、かき消されてしまいそうな声。
だけど聞こえた。
ちゃんと届いた。
俺は聞いてるから、永瑠。
しっかり届いてるから。
“永瑠”の、本当の言葉。
「……死にたくないっ……死ぬのは怖いっ」
「……うん」
「ホントは、死にたくなんかないっ……!」
「……うん」


