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日が落ち始めた頃。
ひたすら走り回っていた俺は。
ふと、足を止めた。
見覚えのある場所だったのだ。
微かに茜色に色づき始めた、空。
同色を映し出す、水。
川だ。
広い川。
とても記憶にある場所。
実瑠が溺れた、あの川だ。
ひやり、とする。
思い出される実瑠の冷たさが、手のひらの熱を奪う。
まさか。
まさか。
咄嗟に、実瑠が溺れていた場所を探した。
川岸へと駆け降りる。
どこだ。
実瑠を連れて行ったあの場所はどこだ。
英璃を泣かせたあの場所はどこだ。
永瑠を殺したあの場所はどこだ。
俺の第二の家族を。
幸せだった家族を、ぶっ壊したあの場所は、どこだ。
忌まわしく夏色に光る川。
その中に。
人影を見つけた。


