そんな実瑠にピッタリとくっついて、ついて回っていたのが永瑠で。
その後ろをとことこ追いかけるのが英璃。
それはもはやお約束のような構図で、3人の遊びまわる様子をうれしそうに眺めている未花子さんと旦那さんが居た。
絵にかいたような、幸せな家族だったはずだ。
なのに。
「……その実瑠兄ちゃんが居なくなった途端、お母さんがおかしくなったんだよ」
「…………」
「家族みんな実瑠兄ちゃんが大好きだったけど、一番好きだったのはお母さんだから」
「…………」
「……あのさ、有架兄ちゃん」
「……うん?」
「姉ちゃんが、自分のこと“オレ”って呼んでる理由、知ってる?」
“オレは、好きで自分のこと「オレ」って呼んでるわけじゃない”
そんなことを、いつか永瑠が言っていたような気がする。
しかし、理由までは聞かなかった。
だから首を横に振って否定を示すと、英璃は「そっか」と言い。
少しだけ口を閉じてから、顔を上げた。
英璃の決心したような瞳と、ぶつかった。
その瞳は言う。
「姉ちゃんは、実瑠兄ちゃんと入れ替わってるんだよ」
その瞳が、揺れた。


