言うと、英璃は苦笑のような、自嘲のような笑みを浮かべた。
「だって、僕と姉ちゃんで隠してたから」
「……なんで」
「周りから、変な目で見られるって、思ったから」
「…………っ」
「だって、有架兄ちゃんもおかしいって思ったでしょ。おんなじ写真ばっか飾ってるの見て、変だって思ったでしょ」
否定できなかった。
たしかに、あの写真たちを見て、おかしいと、俺は思ってしまったから。
だから何も言えずにいると、英璃はやはり、歪んだような笑みを作った。
「いいんだって。あれ見て変だって思わない方が不思議だし」
「…………」
「ウチの家族、さ」
「……うん」
「実瑠兄ちゃんが死んでから、ぶっ壊れてんの」
英璃は淡々と言う。
淡々と、崩れた家族の話を紡ぐ。
「ウチの中心はね、実瑠兄ちゃんだったんだよ」
「…………」
「なんでもできて、友達も多くて、優しくて……そんな実瑠兄ちゃんが、家族みんな大好きだった」
英璃の言葉に嘘はない。
本当に、実瑠はいつも、どこでだって、輪の中心に居るようなヤツだった。


